11月2日(土)から、上野国立科学博物館で『特別展ミイラ「永遠の命」を求めて』(以下、「ミイラ展」と呼びます。)が始まりました。
見どころは、世界各地から集まった43体の実物のミイラ。
この「実物」というのが、この展示の凄いところ。
館内は全て撮影禁止であるのがブロガーには辛いところでしたが、別の場所で撮影された写真を添えて、開催初日に訪ねたミイラ展をレポートします!
場所
上野にある国立科学博物館で、開催されています。ほかに、東京国立博物館、国立西洋美術館、東京都美術館、上野の森美術館など、上野恩賜公園にはたくさんの文化施設があるから、間違えないように!
筆者、東京国立博物館に向かってしまいました。
特別展は、SLの右側にある通路から入ります。ここでチケットを購入する場合は、通路を進みSLを過ぎたところに売り場があります。
初日の土曜日は、チケットを求める列がSLと同じ長さだけできていました。
列には、若い女性、若い男女のカップル、それに、お子さんを連れたお母さんが目立つ。
ミイラは女性に人気!?
混雑具合
まずは、混雑具合から。
館内では写真が取れませんので、想像でお願いします。
薄暗い館内を中に進むと、そこには、ガラスケースを囲むように足を止める人たち。
ガラスケースの中は、もちろんミイラ。
ガラスの前に一列、奥に進むほど人は多くなっていて、興味深いミイラの前では二列になって後ろから覗き込む姿もちらほら。
布に肌が隠れて想像するしかないミイラよりも、モロに肌が露出しているミイラの方が、関心が高い様子でした。
それはそうか。
狭い場所では「人が多いな」と感じましたが、どこも身動きが取れないほどではありません。
まだミイラ展は始まったばかり、ということでスムーズかも。
展示内容
「ミイラ」と聞くとエジプトをイメージしますが、展示のスタートはなんと南米のミイラ。
南米のミイラ
子供かと見間違うほどにコンパクトに、布袋に包み込まれたミイラ。
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まるでプールバッグのような。
それを模したクッション。
最後に購入できます。
人工的に制作したのでなく、中で自然にミイラ化したという方が表現としては正しい。
隣に貼りだされていた国内でCTを撮影した画像を見ると、確かにミイラでした。
体育座りのミイラ。
村の守りとして、村を見渡せる位置に安置され、死してなお生きる。また、王は、ミイラとなってなお領土を治めていたという。
閲覧注意
布の上部が破け、中から顔を出したミイラには、悲しさを覚えます。
なぜここに居る。
南米から日本まで運ばれて。
布や包帯で人の姿が見えないミイラは、第三者には単なる物質、塊り。ところがミイラに人の形を見ることにより、突如として今でも人格を備えているかのように思えてしまうのでした。
エジプトのミイラ
ミイラの制作技術を確立し、人工的に次々と生み出していたのは、紛れもなくエジプトです。魂の帰る場所として、肉体を永遠に保つためでした。
エジプトのミイラは、魂の器。
確かに、ミイラ自体に怖さを感じません。
むしろ、人型の棺に描かれた審判の様子の方が、恐ろしい。
猫やハヤブサ等のペットも、同じようにミイラに。そのハヤブサは、数日前に死んだのかのようでした。
ヨーロッパのミイラ
ポスターにもなっている、泥炭層に埋もれていた二体のミイラ。なぜ頭が無いの?
閲覧注意
酸性の泥炭が、骨を溶かしてしまったそうです。逆にアルカリ性であると、皮膚や筋肉が溶けて骨が残るとか。
他にも、絞殺された少女のミイラがあって、2,000年前に亡くなった少女の首に、その痕跡が。
確かにミイラだけど、何らかの意図を持ってミイラ化したわけではないから、単に遺体を見ているかのような気持ちになります。
アジア・オセアニアのミイラ
なんと、アジアにもミイラ。
湿度・温度の関係からミイラ作りには適さない地域ですが、オセアニア諸島部の肖像頭蓋骨(頭蓋骨にペイント)などがあります。
また、日本においてもミイラがあって、代表的なところでは即身仏。展示にはありませんが、平泉の藤原氏3代の即身仏が有名ですね。
本展示会では、福島県貫秀寺の即身仏と、学問の為に自ら死後ミイラとなった本草学者(医薬の学者)が安置され、生前の姿を強く想像させました。
閲覧注意
福島県貫秀寺の弘智法院 宥貞殿
日本の展示には、熱心に見入るひとがひときわ多くいて最も混雑していました。
そして、個人的に最も目を背けてしまったのは、江戸時代の兄弟のミイラ。湿気のある日本の国土の影響で、一部死蝋化したミイラです。
寺・墓地の改葬により掘り起こしたところ、なんとミイラ化していたとか。
その後、なぜ展示物となってしまったのか、大きな疑問の残るところです。
身近にある日本の墓地が容易に想像できるからか、もしくは顔が変形して苦悶の表情に見えるからか、それとも生前の姿に近いからなのか、ミイラよりもご遺体と感じてしまうミイラでした。
ガチャポン
最後にあるグッズ売り場には、海洋堂制作のガチャポン。
なかなかグロテスクですが、人気でした。
ミイラ展から感じたこと
ミイラが作られた意図によって、ミイラの扱われ方も私の感じ方も異なるものだと強く感じました。
ミイラを魂の器や守り神のように扱い、意図をもって人工的に制作されたミイラであれば、そのミイラは人間を越えて、別種のもののように感じました。
例えるなら、次のステージに進んだ人間。
だから、まるで神秘的なものを見るかのような興味の対象ともなり得て、また畏怖を感じながらも、じっくり見てしまいました。
一方で、自然にミイラ化してしまったミイラには、そのような感覚は沸きませんでした。2,000年経過しようと、3,000年経過したミイラであろうと、遺体・死体という感覚がどこかに生まれてしまい、タブーに触れてしまうことを避けるかのように。
どことなく、他よりも足早に通り過ぎていたように思います。
地域・風習や宗教によって、ミイラの役割やミイラに対する感情はさまざま。
世界各地から43体のミイラが集まったことでそれを体感し、「死」は「死」でしょうが「死」だけではない、という新たな領域にモヤモヤしそうです。
しかし、女性が多かったとはいえ、単純にこのような感想もあり得るかも。
大好きな「大沢たかおさん」の音声ガイドがある博物館、とだけ聞かされ連れていかれた妻ちゃん。二度と行かないそうです。
会期は、2019年11月2日(土)から2020年2月24日(月・祝)まで。
ミイラをテーマにした展示は貴重ですから、ご興味のある方はまずは公式ウェブサイトをチェックしましょう。